断熱等級と外壁厚さの比較



2022年から断熱等級の上位グレードとなる等級5、6,7の適用が順次開始されています。


性能を考慮すると、断熱等級は上位グレードの方が望ましいのは当然ですが、断熱等級が上がると「工事費」と「断熱厚さ」の数値も上がってゆきます。


断熱厚さは、厚くなると基本的に内部の寸法を狭くする方向で調整しなければならないため、特に敷地に余裕の少ない都市部の住宅では少なからず影響があります。


例えば、外壁の厚みが増すと平面的に使用可能な範囲が狭くなり、敷地によってはプランに悪影響を及ぼす恐れがあります。


そこで、この記事では、断熱等級に対してどの程度の外壁厚さが必要になるか、スタディを表にまとめて解説してみたいと思います。



表の作成にあたって、下記の条件を設定してスタディしました。


・在来構法の2階建て木造住宅程度を想定。

・柱は木造住宅で標準的な105mm角を想定。

・外壁は防水シートの上に通気層と仕上げ材(モルタルやガルバリウム鋼板等)を想定。

・断熱材は、木造住宅で最もポピュラーなグラスウールを主要材にすることを想定。


結果として、それぞれの断熱等級に対して、おおよそ上記のような外壁厚さになりました。



まず、「等級4」は現行の新築住宅の多くが満たしている断熱等級と思われますが、外壁の壁厚は160mm程度になります。

「等級5」にした場合もほぼ同じで、断熱材のグレードを上げることで同じ壁厚のままとすることが出来ます。


一方で、最上位グレードの「等級7」になると、300mm程度の壁厚が必要になります。

これは、必要な断熱材が「等級5」の倍以上になるためですが、感覚的には構造体の外側に断熱用の外壁を更に一回り巻くようなイメージになります。

300mmになると、コンクリートや鉄骨造の標準的な壁厚よりも厚くなるので、プランニングに際しても十分な余裕を持たないと成立しないものとなります。

ただし、グラスウールよりも断熱性能の高い断熱材を使用した場合は、壁厚を300mm以下に圧縮することも出来ますが、劇的に薄くすることは難しいものと思われます。



また、「等級6」の場合は、厚さ200mm程度に納まります。

そうすると、見た目や寸法の取り方が通常の木造住宅とほとんど変わらないので、外壁の厚みを気にせずに計画することが出来ます。



上記のように、断熱性能のみを考慮すると「等級7」がベストですが、その壁厚を考慮すると、有効な面積に対して大きなロスが発生する可能性もありますので、平面計画と断熱性能のバランスを十分に検討しておく必要があります。




KHアーキテクツでは、温暖地域における断熱性能は「等級6」(HEAT20G2グレード)を推奨しています。

その理由は、上述のように、外壁厚みをそれほど気にせずに計画でき、デザインと性能のバランスが取れた住宅をつくりやすい為です。



住宅は、間取り、断熱、耐震、デザイン、コストといった様々な項目を常に検証しながらつくられてゆきますが、そのバランスに十分に留意する必要があります。



KHアーキテクツでは、それらのバランスに配慮しつつ「シンプル」なデザインで「エコ」な仕様の住宅を設計しています。




もしご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。





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