住宅における「間接照明」のメリット
一般的に「間接照明」とは、照明器具本体が見えない位置に設置され、建築の壁や天井の一部に組み込まれた照明のことを指し、「建築化照明」とも言われます。
「間接照明」は、LED照明が普及して以降、導入コストや技術的なハードルが低くなり、採用しやすくなりました。そのため、近年は住宅においてもよく使われる照明方法です。
この記事では、住宅で「間接照明」を使用する場合のメリットや、注意すべき点について解説したいと思います。
まず、「間接照明」では主に下記のようなメリットが考えられます。
・光源が見えないので、まぶしさが少ない。
・調光可能な器具が多く、調光・調色がしやすい。
・天井を高く見せることが出来る。
・壁・天井や家具と一体的にデザインでき、スッキリとした意匠になる。
一方、導入にあたって注意すべき点は、下記のような点があります。
・メンテナンスが十分に行なえる寸法とスペースをつくっておく。
LED照明は基本的にメンテナンスフリーですが、将来的な器具の交換を想定しておく必要があります。また間接照明の設置箇所はホコリがたまりやすい箇所になることから、清掃が容易に行えるように配慮することも大事です。間接照明は非常に小型化しており、コンパクトなスペースに納まるのですが、こうした点に留意し、寸法的な余裕を持っておく必要があります。
・照明器具の明るさの範囲や色温度をあらかじめ確認しておく。
間接照明は、つくりたい雰囲気に合わせて、明るさや色温度を調整できるのが特色です。後から自由に調整できるのが大きな特長になりますが、様々なオプション機能が登場しているため、明るさや色温度に関するスペックをあらかじめ確認しておく必要があります。
例えば色温度や明るさの調整は、生活の中でどこまで必要か、不要な機能は何かを事前に整理しておくことで、ご予算に見合った適切な機能の照明器具を選択することが出来ます。
ここからは具体的な事例をもとに解説します。
府中エコ・コートハウス
1階のリビング天井に間接照明を組み込んでいます。照明器具は明るさ、色温度を変えることが出来るタイプを採用しています。照明ボックスは梁型や家具と高さを統一しており、スッキリとしたラインに見えるようにしています。天井には天然木を張っており、木の質感をより強調するような照明となることを意図しています。
恵比寿G邸
リビングの一部を折上げ天井とし、その中に間接照明を組み込んでいます。天井の低い部分で2.65m、折上げ天井部分で3.25mの高さがあり、標準的な住宅の天井高に比べて高い分、全体的に開放感のあるゆったりとした気積のある空間になっています。折り上げ天井部分は天井全体の中での比率は大きくないものの、折り上げ天井部分がコンパクトな分、照明ボックスのような効果をつくっています。
広尾H邸リノベーション
マンション住戸のリノベーションにおいて、リビング・ダイニングに間接照明を使用しています。ちょうど既存の柱と梁がある箇所に照明ボックスと造作家具を組み込んでおり、柱や梁の存在感を消し、幾何学的なフレームによる規則性が出るようにすることを意図しています。照明ボックスや造作家具を一体的にデザインした典型例といえます。
以上、実例を挙げながら住宅における「間接照明」のメリットについて解説しました。
KHアーキテクツでは、住空間にプラスアルファの快適性をつくる、「間接照明」を使ったプロジェクトを多く手掛けています。
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