top of page

スキップフロアのメリット・デメリット


スキップフロアとは、フロア=床面を0.5層分ずらして、半階づつ上げながら上下階をつなげるプランニングのことを一般的には意味します。



スキップフロアには様々なメリットがありますが、この記事では実例をご紹介しながらスキップフロアのメリット・デメリットについて解説したいと思います。



まず、スキップフロアの主要なメリットとしては下記のようなものが挙げられます。



・半階づつ上がるので、上下の移動が心理的に楽になる。


・上下がつながり気積の大きな空間ができやすいので、床面積以上に広く感じられる。


・階のズレを利用して床下収納、小屋裏収納を設けやすい。


・上下階の見通しがよく、気配や音が伝わりやすいので一体感が感じられる。


・動線がコンパクトに納まりやすい。


・階段の高低差が半階分になるので、落下・転倒に対する安全性が相対的に高くなる。



おおよそ上記のようなメリットが考えられます。

スキップフロアは、家全体の一体感が得られやすいので、ご家族間のコミュニケーションがしやすくなります。

また、各部屋が視覚的につながりやすいので、小さなお子様がいらっしゃる家庭ではお子様の居場所がわかりやすく、安心感が得られます。




一方でスキップフロアのデメリットとしては、下記のようなものがあります。



・音や匂いが建物全体に伝搬しやすい。


・フロアごとに細切れになり、掃除しにくいプランになる場合がある。


・上下階で寒暖差を感じやすく、空調効率が悪い場合がある。



これらは、上下が物理的により明確につながっていることから生じるもので、短所は長所の裏返しともいえるのですが、プランニングや仕様により解消することも出来ます。

例えば、空調効率は、高気密高断熱仕様とすることで不快に感じられるような温度差を改善できます。

ただ、お掃除にしやすさに関しては、ルンバのようなお掃除ロボットを導入されているご家庭の場合、ロボットの行動範囲が限定されがちになるため、スキップフロアが敬遠される傾向にあります。

また、個室の独立性、プライバシーを重視される場合もスキップフロアが敬遠されがちです。

ただこの場合も、壁や扉の防音性能を上げることで解消されるので、全体のプランと仕様・設備のグレードを勘案して検討することが重要です、





ここからは実際の事例をご紹介したいと思います。




「みどりのK邸(MINI Step House)」は、その名の通り、コンパクトな2階建ての住宅です。

1階と2階の間に1.5階を設け、大きめの階段踊り場と和室をつくっています。和室の上下には収納を設けて、見た目以上に余裕のある収納スペースとしています。

ダイニングから和室のある中間階、リビングへとつながる階段を見たところ。

ダイニングと和室の踊り場は2層吹抜けになっているので、気積が大きく開放感があります。




断面パース。

和室の上下に収納をつくっています。それぞれの収納スペースは1.4m以下の高さであれば階数や面積に算入されません。

半階ずれることによって生じるこうした空間をいかに上手く利用するかが、スキップフロアとした場合のデザインの要点になります。





小屋裏収納からダイニング側を見下ろしたところ。

上下階が視覚的につながっているので、住宅の中で心理的な距離感をあまり感じません。

音に関しては、個室を含めてかなり通りますが、この住宅のお施主様は家族間のコミュニケーションを密にされることを望まれていた為、特に支障は無いようです。

空調に関しては、上下階での温度差はそれなりにあるようですが、夏季においては2階のリビングのエアコン1台の稼働で十分にまかなえているそうです。

一定水準以上の断熱性能を備えた一室空間の場合、空調効率はさほど悪くないといえます。



以上、「みどりのK邸」におけるスキップフロアのご紹介でした。



この住宅では、2層分のみのスキップフロアなので、それほど複雑にならずに、気積が大きくおおらかな印象の立体的な空間が出来たかと思います。



前半部分に書いたように、スキップフロアのメリットはデメリットと表裏一体のところがあるので、どのように捉えるかによって評価が全く変わってきます。



スキップフロアの採用にあたっては、デザインのみならず、家族間のコミュニケーションやライフスタイルの理想形を十分に思い描いた上で、採否を選択することが重要となります。




KHアーキテクツでは、スキップフロアをはじめ空間を立体的に活用した住宅を多く手掛けています。



もしご興味ありましたら、お気軽にお問い合わせください。






・関連プロジェクト













bottom of page