BIMによる住宅設計のメリット


BIMとはBuilding Information Modeling の略称で、3Dの立体データと2Dの図面情報を統合して作業する設計ツールです。



KHアーキテクツでは数年前からAutodesk社の Revit LT を導入しており、CADソフトである同社のAutocad LTと連携させながら業務を進めています。



BIMは10年くらい前から日本でも普及の始まったツールで、BIMを使用している設計事務所はまだまだ少数ですが、ここでは住宅設計でBIMを使用する場合のメリットについてご説明したいと思います。



まず、設計のプロセスにおいてBIMの最大のメリットは、図面と3Dモデルの作成を同時に行える点です。



従来、アタマに描いた建築を具体化するのは、図面(2D) → 模型orCG(3D) という一方向のプロセスでしたが、BIMでは2Dと3D双方向のプロセス、つまり 図面(2D) ⇆ 模型orCG(3D) となるのが大きく異なります。


また、BIMではこれまで個別に図面が作成されていた構造や設備の図面も統合して3Dデータに作成することが出来ます。

これにより、構造部材のサイズ違いや設備の配管配線が納まらない箇所や矛盾が生じている箇所を早期に発見・調整出来ます。




下図は、「府中エコ・コートハウス」の作業画面のスクリーンショットです。

こちらの画面ではモデリングしたデータを3Dデータとして表示しているところです。




同じデータで表示モードを変更すると、例えば構造材のみのフレームを表示することも出来ます。

作業画面で構造フレームのCGを見ているところです。



このように表示モードを変換しつつ、構造とデザインを3Dで検証することで整合性を整えてゆきます。

設計者にとっては、これまで別々のプロセスで行っていた、上記のような構造や設備との整合性の確認や図面とモデリングの作業を統合し、双方向的に作業できる点が最も大きなメリットといえます。


また2Dと3Dを同時に作成するので、作業時間が短縮でき、お施主様とのコミュニケーションにも迅速かつ正確に対応することが出来ます。

こうした作業時間の短縮も、設計者にとっては大きなメリットのひとつです。




一方、お施主様にとって、BIMは計画の初期段階で精度の高いCGでイメージを確認できる点と、最終的なイメージをパース画像で確認できる点でメリットがあります。


特に最近は、打合わせがオンラインミーティングになるケースも多いのですが、パソコン画面を共有しながら3Dイメージを確認出来るので、場合によっては印刷物で確認するよりも簡単にポイントを伝えて理解できる場合もあります。




下の画像は、某住宅プロジェクトの初期提案の一部です。

この案は、ほぼファーストプラン段階のものですが、比較的初期の段階からイメージを伝達・共有することが出来ます。





また設計が固まった段階においても、完成CG予想のイメージを共有することが出来ます。

こちらは工事契約時に作成する実施設計図に添付したCGイメージです。BIMのデータをレンダリングしたものになります。





そして、こちらが竣工時の写真。

細かなディテールは異なりますが、ほぼCGイメージ通りに完成しているかと思います。




個人的な経験では、全体的なスケール感を俯瞰して見たい場合は模型の方が把握しやすいのですが、人間の視線でのインテリアのイメージはCGの方がわかりやすい気がします。



そのため、KHアーキテクツではBIMでのイメージ伝達と同時に模型を複数作成することでお施主様とイメージの共有を図っています。どちらも一長一短がありますので、複合的にそれぞれを作成しながら設計と提案に活用しています。




またBIMで作業するその他のメリットとしては、日照や日陰のスタディや、プラグインソフトを使用することでの風や温度分布のシミュレーションをすることが挙げられます。



それらの方法については別途ご紹介したいと思いますが、今後住宅における省エネ基準の義務化や高気密高断熱仕様への関心の高まりを考慮すると、BIMで作成された3Dデータを応用して出来ることは更に拡がるものと思います。




いずれにしても、スケッチやドローイング、模型といった昔ながらの方法も活用しつつ、最新のツールやトピックを学習しながら設計に応用していくことが、建築家にとっては重要といえます。


日々技術や知見が更新されてゆく医療の世界と同じように、建築の世界においても技術やトピックが日々更新されてゆきます。

そうした時勢を正確に見極め、適切に対応するため、学習と実践を日々繰り返しているのが建築家の日常といえます。







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