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リノベーションでの床暖房の選択肢

およそ30年以上前に建てられた住宅の多くは、断熱仕様が十分でなく底冷えすることが多いため、リノベーションで温熱環境を改善することは、重要な課題のひとつとなります。



リノベーションにおいて設置可能な床暖房の選択肢は複数ありますが、それぞれ一長一短があります。



この記事では、リノベーションにおける代表的な床暖房の種類と選択肢について解説したいと思います。



まず、床暖房にはポピュラーな方式として、電気式とガス式があります。


それぞれ、下記のような特徴があります。



■電気式


・コスト:イニシャルコストが安い。

・施工性:床暖房ユニットの厚みが薄く設置しやすい。

・暖房効率:ガスに較べてパワーが無いため、部分的な暖房になる。




■ガス式


・コスト:イニシャルコストが高い。

・施工性:床暖房ユニットの厚みが厚く、床下地材の寸法調整が必要。

・暖房効率:床面だけでなく、部屋全体を暖房できる。




おおまかに、上記のような特徴があります。


お薦めは、部屋全体がまんべんなく温まる暖房が可能なガス式になりますが、リノベーションをする際に、床を解体して床下の下地材も含めて床レベルを調整するか、既存の床材を残して床高を2、3センチ上げる必要があります。



そうした床レベルの調整は、コストや技術的な条件で出来ないケースがよくあります。

そして、そのような場合に、電気式を導入するケースが出てきます。




下記の図は、ガス式床暖房の標準的な断面図です。

赤のハッチ部分が床暖房ユニットになります。

ガス式の床暖房は、温水パイプが仕込まれた床部材にガスで温められた温水が循環することで床面を暖めます。

温水パイプの為に15ミリ程度の厚みが必要となるため、床の下地レベルを調整するか、床面を20ミリ程度あげるか、という調整が必要になります。




こちらは電気式の場合の断面図です。

電気の場合は、温熱線の入ったシートを敷くのですが、厚さが薄いので、既存の床面を再利用する場合に高さ調整しやすいという利点があります。

部分改修や再利用部分が多いリフォームの場合に有利になります。





こちらの写真は、ガス式床暖房の施工状況です。

銀色の床材が床暖房ユニットです。よく見ると、温水パイプの配管ラインが浮かび上がっているのがわかります。

このパイプにキズをつけると温水が漏れてしまうので、施工に際してはグリーンのテープが貼られた部分にフローリングの目地を合わせて、そこに釘打ちする必要があります。




この写真では、右側に施工済のフローリングが見えていますが、目地がグリーンのラインにそろっているのが分かります。

フローリングの目地が規則的にそろうので、ランダム張りに出来ないのがある意味で欠点ですが、あまり気にならない程度かと思います。


ガス式の場合は、稼働を止めた後も温水による蓄熱効果が得られるので、暖かさがより持続しますが、床下の断熱仕様がしっかりしていないと熱逃げしやすくなるので、その点にも十分な配慮が必要になります。




総じて、リフォームにおいては新築と異なり、予算や床下地等の条件により床レベルを変更出来ないケースもあります。

そうした諸条件を勘案した上で電気式かガス式を選択する必要がありますが、技術的な判断が必要となるため、建築家と十分に確認・協議することが重要となります。





KHアーキテクツでは、床暖房を導入したリフォームも多く手掛けています。




もしご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。





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