東京都内の新築住宅と太陽光発電のこれから

東京都は、2025年度から都内の新築戸建て住宅に太陽光パネル設置を義務化する方針を決定しています。(2022年9月現在)


そこで、この記事では、建築家の設計による注文新築住宅における太陽光パネルの扱いについて、解説したいと思います。


まず結論からすると、建築家による注文住宅は今回の設置義務の対象外であり、太陽光パネルの設置は、従来通り任意の選択が可能です。



今回の条例で設置義務の対象となるのは、都内に総量で延床面積2万㎡以上の住宅を供給している大手ハウスメーカー各社になります。

そのため個々の発注者が、設置義務の対象となるこれらの大手ハウスメーカーに依頼する場合は、太陽光パネルが設置された住宅をつくる流れになります。


また下記のような条件では、設置義務の対象外となります。


・屋根面積が20㎡未満の場合(2kWの太陽光発電設備の設置が物理的に困難な場合)


・地域の建築制限等により設置できない場合 等



設置義務の対象外となるかどうかの判断は事業者側で行うため、発注者はその判断に準じることになります。


太陽光パネル設置のコストは、建築費に上乗せされるか、リース等により初期費用をゼロにする方法も想定されているようですので、どの方法を選択するかは、発注者に委ねられることになります。

2022年現在、太陽光パネルの設置費用は1kWあたり30万円弱になっており、年々単価は下がっています。

住宅の場合、一般的に3から5kw程度とすることが多いので、初期費用としては100万円程度を見込むことが必要になります。



また一般的に、太陽光発電のメリット・デメリットは下記になります。



■メリット


・電気代を安くできる。

・災害時の電源供給が可能になる。

・自然エネルギーの使用により、温暖化対策に貢献できる。



デメリット


・イニシャルコストがそれなりにかかる。

・パネルの光の反射や美観を損なう点等が問題になるケースがある。

・一定の大きさが無いと発電量が十分でない。



昨今の物価高騰の影響により、電気代も上昇傾向が顕著ですが、太陽光発電を導入することで電気代はある程度抑えることが出来ます。


また、災害時の電源供給が可能な点も考慮すると、原則的には導入が望ましいといえます。



しかし、KHアーキテクツでの実績ではごくわずかな棟数しか太陽光パネルの設置には至っていません。


その理由は、主に下記になります。


・コスト配分を省エネ仕様や、意匠的な仕様の充実に比重をおいて振り分けているため。


・都市住宅では屋根面積が十分に確保できる建築条件でない土地であるケースが多いため。



太陽光発電はエネルギーを創るための「創エネ」になりますが、創ったエネルギーが過大に消費されないようにするには、まず「省エネ」を徹底させる必要があります。


また、快適な住まいを創るためには意匠的な部分にかけるコストも大事なため、設置が必須とならない太陽光発電は優先順位がだんだん低くなってゆきがちな点がどうしても出てきます。


更に、都内の住宅の場合、厳しい斜線制限もあるので、太陽光が十分に当たる南側に十分な面積の屋根を設けることが難しい場合が多くあります。

一般的に太陽光発電の1kwの発電に必要なパネルの面積は、10-15㎡程度と言われていますが、発電量2kwとしても最低20㎡の面積が必要になります。

しかし、都内では北側斜線や道路斜線等で、屋根形状が複雑になりがちであり、南側に20㎡の太陽光パネルを確保するのは意外に難しいものとなります。


上記から、計画の初期段階では太陽光パネル設置が構想されるものの、計画途中で将来対応に切り替わる、、、というケースが多くあります。


将来計画とする場合は、屋根の荷重が太陽光パネルを載せても問題無いような荷重設定で構造設計しておく必要があります。

また、電気配線のルートや室内機器の置き場所についても、あらかじめ想定しておくことが望ましいといえます。




最後に内容をまとめると、太陽光パネル設置については下記のような点を考慮する必要があります。


・太陽光パネル設置は建築家による注文新築住宅の場合、任意の選択が可能。


・電気代高騰や災害対応等のリスクを考慮すると設置する方がベター。


・省エネと創エネの比重や、デザインや設備を含めてコスト配分を十分に検討する必要がある。


・太陽光パネルに必要な面積の屋根を設けることが出来るか、計画初期に十分なスタディが必要がある。




個人的に太陽光パネル設置は原則的に賛成ですが、コストや面積の問題もあるため、設置しなくとも良しとする選択肢も残しておくべきかと思います。




写真は東京都が配布している、太陽光発電設置のパンフレットです。東京都のウエブサイトにおいても内容が充実した様々な説明がされていますので、ご参照ください。

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また、KHアーキテクツでは創エネ、省エネに配慮した住まいを多く手がけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。






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