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珪藻土系左官材のメリット



珪藻土とは、植物性プランクトン「珪藻」の化石に由来する多孔質の土になります。

元来、熱に強く七輪等に使われてきたそうですが、様々な効能から内装に使う左官材としても根強い人気があります。


この記事では、インテリアに珪藻土を使用するメリットについてご説明したいと思います。



珪藻土のメリットは主要なもので下記の点が挙げられます。



・調湿性

珪藻土でつくられたコースターやバスマットが色々と市販されて普及していることからもわかるように、珪藻土は吸水性に優れます。建材として使用した場合、多湿時に湿気を吸収し、乾燥時に湿気を放出するという調湿作用を発揮します。おそらくこれが建材として最も有効な機能といえるかと思います。



・防汚・清浄作用

珪藻土の中に浄化作用のある「酸化チタン」が含まれており、室内空気の浄化や抗菌の効果があります。調質性と合わせて、シックハウスに対して効果があるので、アレルギー体質のある方がご家族にいらっしゃる場合、珪藻土系左官材を使用すると効果的といえます。



・耐火性

もともとが「土」で出来た素材なので、燃焼に対して強い素材になります。製品によっては不燃認定を取得しているので、法的な内装制限が必要が場合でも使用することが出来ます。



・テクスチャー(質感)

左官材は、その仕上げ方によって様々な表情をつくることが出来ます。塗り方によっては手仕事の味わいのある凹凸が出来るので、室内に有機的な表情をつくることが出来ます。

また、塗り方によってはDIYで出来るものもあるので、コスト削減を試みる場合にはお施主様によってDIYすることも出来ます。




以上が珪藻土系左官仕上げの主要なメリットになりますが、ここからはKHアーキテクツでの実例をご紹介したいと思います。





「恵比寿G邸」はコンクリート造の住宅ですが、在室時間の長い寝室にはより健康に配慮した素材を使いたい、というお施主様のご希望により主寝室に珪藻土を使用しました。

寝室の壁面を見たところ。

珪藻土は日本珪藻土さんの「エコクイーン」顆粒無しタイプをラフ仕上げの左官塗りしています。

珪藻土の質感や表情は控えめにして、他の部屋の質感と較べて違和感を感じないようにしています。

照明は光源が直接見えない埋め込みタイプのブラケット照明を使用しています。

寝室なので、まぶしくならないように配慮しつつ、壁面の左官仕上げの凹凸のテクスチャーを強調する効果を意図して選定しました。




反対側の壁面を見たところ。

こちらも埋め込みタイプのブラケット照明をつかっており、ほのかに左官材の陰影が見えています。


意匠的なバランスを踏まえて、全体的に主張の無い、控えめな使い方をしています。





「南砂町K邸」ではリビングの壁面を珪藻土系左官仕上げとしています。

こちらも他の部分に較べて違和感の無いように控えめな左官仕上げになっていますが、写真をよく見ると微妙な色ムラや質感が見られます。


このプロジェクトはマンション住戸のリノベーションですが、既存ビニルクロスがズレないようにタッカーを打った上で、ビニルクロスの上から左官材を塗っています。

ペンキやビニルクロスですと壁の下地はキレイに平滑に仕上げる必要がありますが、下地が多少ラフな状態でも施工できるのは左官材のひとつのメリットといえます。




左官材の単価は、使用する面積や素材の種類、塗り方によって大きく変わりますが、材工4,000円/㎡前後がおおよその相場かと思います。


ビニルクロスが材工1,500円/㎡弱くらいがスタートですので、3倍程度は高くなります。


決してリーズナブルなコストの素材とは言えないので部分的な使用に留めるケースも多いのですが、人の手の痕跡の感じられる優しいテクスチャ―や調湿作用や防汚作用といった機能性を考慮すると他の素材に代えがたい魅力のある自然素材ともいえます。




珪藻土の左官材は様々なメーカーから様々な製品が販売されていますので、コストや効果を確認した上で、建築家と協議しながら選択することをお薦めします。






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