リフォームでの断熱改修の方法



リフォーム・リノベーションにおいては、予算を十分に確保して、スケルトン状態まで解体した上でのリフォームでない限り、十分に断熱改修して温熱環境を劇的に改善するのは難しいのが実情です。

この記事では、フル・リフォームでない場合における、断熱改修の様々な方法について解説したいと思います。



リフォームにおいてはご予算やご要望に応じて改修できる範囲が大きく変わってきます。

理想的には構造体のみのスケルトン状態まで内装を解体し、耐震補強を行った上で断熱も含めて改修するのがベストですが、ここではインテリアの更新をメインとした場合の、リフォームにおける断熱改修方法を主軸として解説したいと思います。




リフォーム・リノベーションの場合の断熱改修としては、下記の優先順位で検討・実施するのが望ましいと考えられます。



1 壁・床・天井の断熱材の改修


2 窓まわりの改修


3 設備機器の改修



大まかに上記の3項目が考えられますが、それぞれの内容について解説したいと思います。




1. 壁・床・天井の断熱材の改修


通常、戸建て住宅の場合、壁、床、天井(マンションの場合は外気に面する壁、天井)には断熱材が入っています。しかし、築年数が古い建物になればなるほど、断熱材が非常に薄いか、全く入っていないケースもよくあります。

断熱材が無いと空調に消費するエネルギーが極めて過大となり、結露も発生しやすくなるため、まずは断熱材を改修・更新するのが望ましいと考えられます。

ただ、全面的に更新するのは大変な労力・コストを要するため、ご予算や改修範囲に応じて部分的に改修・更新するだけでも有効といえます。





2. 窓まわりの更新


古い住宅ですと、断熱性能が非常に劣るシングルガラスとアルミサッシによる窓が一般的です。90年代中期以降に建設された住宅であれば、多くの場合、断熱性の高いペアガラスの窓となっていますが、サッシ自体の断熱性は劣るので、特に熱損失が大きくなる、掃出し窓等の大きな窓に関しては何らかの改修が望ましいといえます。

一般的に、戸建て住宅の場合は、窓そのものを更新することが出来ます。

ただしその場合は、窓の交換に伴う外壁面の部分解体と補修が必要となるため、リフォーム範囲に外壁面を含めて想定する必要があります。

窓を更新しない場合、インナーサッシ(内窓)を入れる方法が効果的です。二重窓にすると見た目がやや煩雑になる点と、やや閉塞感が生じるという点に対して、意匠的な配慮が必要になります。

デザイン的にスッキリ見せたい場合は、断熱効果のあるスクリーンの一種である「ハニカムサーモスクリーン」を入れたり、和風の伝統的な方法である障子を入れることも一定の効果があります。





3. 設備機器の更新


ここでの設備機器とはエアコンや給湯器、床暖房等の温熱・空調関連の機器になります。

これらの機器は、一般的な耐用年数は10年~15年程度なので、リフォームを検討する時期には更新のタイミングに差し掛かっているケースが多くあります。また、これらの機器の能力も5~10年単位で能力が少しづつ向上しているため、機器の更新または増設することは、温熱環境の改善や省エネの有効な方法となります。

浴室や脱衣所であれば、送風・暖房機能付き換気扇やタオルウォーマー等を設置するのも、比較的手軽に熱環境を改善する方法といえます。




ここからは、KHアーキテクツの事例における断熱改修について、視覚的にわかりやすい「窓まわり」と「設備機器」の実例をいくつかご紹介したいと思います。





インナーサッシ(窓まわりの改修)

インナーサッシは、一般的に「内窓」や「二重サッシ」とも言われます。写真奥の窓面にある、黒いフレームが既存の窓サッシ、白いフレームが改修のインナーサッシになります。

この窓の場合、既存の窓がイレギュラーな5枚割りなのに対して、インナーサッシは4枚割りの窓にしているので、少し不規則な見え方になっています。こうしたケースはやや特殊ですが、既存の窓の中にはサイズや開き方等で特殊なタイプがあるケースが稀にあるため、注意が必要です。






ハニカムサーモスクリーン(窓まわりの改修)

ハニカムサーモスクリーンは、蜂の巣状の中空層がある、ロールスクリーンの一種です。

写真に見られるように、ハニカム状の中空層が2連で並んでいて外気を遮断しています。この中空層により断熱効果が得られるのですが、より高い効果を期待したい場合は、窓枠の両端にレールを取り付けて、端部から空気漏れを少なくすることが出来ます。






障子(窓まわりの改修)

障子は断熱改修の手段としては必ずしも効果的ではありませんが、見た目の美しさや光の効果を考慮すると、選択肢のひとつと考えて良いかと思います。

省エネ計算の参考値で、熱貫流率U(単位はW/m2K、数値が低いほど性能高)は、障子で5.5、カーテンで10.0、ハニカムサーモスクリーンで4.6となっています。太鼓張りの障子にした場合は3.7になります。

つまり障子は、カーテンの倍程度の断熱効果はあるものの、インナーサッシやハニカムサーモスクリーンの断熱効果には及ばない、という立ち位置になります。そのため、デザイン性や断熱効果、使用箇所等に関して優先順位をつけた上で必要な箇所に設置するのが良いといえます。






浴室暖房(設備機器の改修)

浴室には古い住宅でも換気扇が設置されているケースが多く、既存の換気扇の換気口、電源を利用して暖房付きの浴室乾燥機を設置するのも、温熱環境の改善に有効です。

写真右上にある、エアコンの室内機のようなものが浴室乾燥機になります。この事例では電気より暖房効率が高くパワーがあるといわれる、ガス式の乾燥機を採用しています。

こうした設備機器の増設、アップグレードは省エネ効果はあまり見込めませんが、浴室であればヒートショックのリスク緩和に効果があるので、リフォームの際には採用しておきたいところです。





タオルウォーマー(設備機器の改修)

タオルウォーマーとは、金属パイプに熱したオイル等の液体を通して輻射熱による乾燥・暖房効果で濡れたタオルを乾燥させる機器です。機器のサイズにもよりますが、輻射熱でじんわり温まるので、副次的な温熱環境の改善は見込めます。

フル・リフォームでない限り、在来工法の浴室で断熱材による断熱改修は難しいので、浴室乾燥機やタオルウォーマーといった設備機器により温熱環境の改善する方法は、現実的に有効な手段といえます。

写真のリフォームでは、洋風バスルームの浴槽の脇にタオルウォーマーを設置することで、窓が無く自然な通風・換気の無いエリアにおける、温熱を含む空気環境を改善しています。






以上、リフォームでの断熱改修の方法について、実例をご紹介しました。




リフォームの場合、ご予算や、建物の種類・特性に応じて様々な改修方法が考えられます。





KHアーキテクツでは、リフォーム・リノベーションにも積極的に取り組んでいます。

改修をご検討の際には、お気軽にご相談ください。








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