​シンプル+エコ ー  シンプルな美しさとエコロジカルな調和のある生活を目指して
 

​京都・圓通寺の縁側空間。縁側から庭園、借景をした山並みへとつながってゆく空間。17世紀頃

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フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトによる「夏の家」。室内から中庭、森、湖へとつながる空間。1953年

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日本のモダニズム建築の巨匠・前川國男による「前川國男自邸」。シンプルな木造によるモダンな空間。1942年

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​日本のモダニズム建築の祖の一人、アントニン・レーモンドによる「井上邸」。和と洋が融合した簡素な空間。1952年

「シンプル + エコ」とは、上質で飽きのこないシンプルな美しさと、省エネや自然素材に配慮したエコロジカルな調和のある空間を目指すデザイン、と定義しています。

昨今の断捨離やミニマリズムの流行りに見られるように、本当に必要なモノを吟味し選び抜いた、シンプルな空間をつくることは、日常生活の質を向上させるひとつの有効な方法と思います。

また、省エネや自然素材の使用といったエコロジカルな環境への配慮は、温暖化などのグローバルな環境問題への貢献のみならず、温感、触感といったより身近で日常的な肌感覚における居心地の良さの向上に大きく寄与すると考えています。

空間の居心地の良さ、豊かさとは、視覚的なものから温感や触覚、嗅覚に至るまで多様な指標から得られるものですが、そのいずれかに偏ることなく、トータルとして空間の居心地の良さ、豊かさをシンプルなデザインとエコ性能への配慮によりつくりだしたいと考えています。

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​これを縦軸をデザイン傾向の違い、横軸を環境配慮の度合いとした評価軸で評価すると下表のようになります。

縦横の評価軸に対してそれぞれの軸に偏重すると、バランスが悪くなる傾向にあると考えられますが、シンプルなデザインとエコ仕様への配慮を兼ね備えることでよりバランスの取れた住空間が出来ると考えています。

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この「シンプル+エコ」というコンセプトは、冒頭で紹介したような古今東西の名建築といわれる建物を実際に訪れて体験し、感じた中から生まれたものです。

私が出会った良質な建築の住空間は、いずれも単純明快でシンプルなデザインと、周辺の環境への配慮や温熱環境を含めた居心地の良さを感じるエコロジカルなスペックを兼ね備えているものが多くありました。

また、私がスタッフとして学んだ設計事務所ではいずれも世界各国の先人の教えに学びつつ、環境に呼応する建築をそれぞれの方法で真摯に追求していました。

 

そして、2011年の東日本大震災で体験したエネルギー危機や、年々厳しさを増してゆく気候変動を日常生活の中で実感するにつけ、より切実に環境や省エネ、持続性に配慮した設計に本格的に取り組む必要性を感じるようになりました。

 

「シンプル + エコ」というコンセプトは、こうした経験や認識のもとに生まれ、その考えに基づいて日々の設計に取り組んでいます。

時代の変化に耐えうる持続性のあるシンプルなデザインと、これからの時代に必須となるエコロジカルな性能を兼ね備えた住まいは、住まい手の皆さまにも大きな安らぎと安心をもたらしてくれるものと信じております。

​​ここまでご一読いただき、ありがとうございました。

いつの日にか皆さまと共に、協働しながら住まいを創る機会が訪れますことを、楽しみにしております。

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​「シンプル + エコ」のデザイン方法

 

直感的に理解できる、シンプルで明快なデザインにする。

シンプル + エコの建築では設計の意図がすぐにわかり、使い手が直感的に理解できるような単純明快なデザインをすることでユニバーサルでより使いやすい生活空間をつくることが重要と考えています。また日射や通風等を考慮すると自ずと建物の形状が導き出されます。例えば、伝統的な日本家屋は南側に庭に面した縁側があり半屋外の空間をつくりだしていますが、これは四季を通して快適な採光や通風を得られるように工夫されたものです。​こうした自然の摂理を活かした上で形状を決めてゆくことで明快なデザインとなり、快適な空間が生まれると考えています。

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機械に頼りすぎない、日当たりと風通しの良い空間をつくる。

シンプル + エコの建築では機械的な温熱環境のコントロールに頼りすぎないことが重要と考えています。

日当たりと風通しの良い空間をつくることは、省エネに寄与するだけでなく心理的な効果も大きいと考えられます。

​例えば、適切な大きさと位置に設けられた窓や天井が高く吹き抜けた空間、部屋同士が緩やかにつながった空間等によって日当たりと風通しの良い空間はつくることが出来ますが、こうした方法はデザインと直接的に関連があり、心理的な開放感にもつながってきます。

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​基本性能を高めて、ロングライフを実現する。

シンプル + エコの建築では建物本体の基本性能、特に耐震性や断熱性といった数値化できる性能を向上させ、耐久性や省エネ性能を高めることが重要と考えています。耐震性能は耐震等級2ないし3、断熱性能は民間規格であるHEAT20のG2レベルを基準としています。G2レベルは温暖地域で冬季に概ね室温13℃を下回らず、H28省エネ基準より約50%の省エネ性能となる断熱レベルに相当します。

高性能の耐震性や断熱性能を得る為には構造体に大きな部材を使用したり、壁・天井内に分厚く断熱材を入れる必要がありますが、建築面積や高さ等の法規制が厳しい都市部ですと生活空間が構造体や壁・天井の厚みにより削られてしまうというジレンマが生じます。また断熱にかかるコストも相対的に高くなるので、バランスを考慮しつつスペックを決定してゆくことが重要と考えています。

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HEAT20G2グレードの高性能グラスウール、断熱樹脂サッシ、気密シートを施工したところ。

構造体は構造計算をした上で柱・梁といった部材のサイズを決定しています。

エコロジカルな素材を使うことで、健康に配慮する。

シンプル + エコの建築では天然由来の素材を重用し、その良さを活かすような空間づくりを重視しています。天然由来の素材はその質感の良さや吸湿性や脱臭効果といった性能面からも生活空間の質を向上させることが出来ます。例えば、珪藻土やしっくい等の素材による左官材はしっとりとした質感やシックハウスの予防という点から室内の仕上材として非常に有効といえます。KHアーキテクツではコストやメンテナンス性に配慮しつつエコ素材を積極的に採用しています。

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和紙クロスを張り込んだ造作家具

​珪藻土による左官で仕上げた壁

​天然オイルによる床フローリング、和紙を貼った壁面、障子