top of page

工事見積は入札と特命のどちらが良いのか?


一般的に、詳細や仕様を決定する実施設計が完了すると、工務店に工事見積を依頼します。


見積は、複数の会社に依頼する「競争入札方式」にする場合と、当初から一社に限定して依頼する「特命方式」にする場合の、2パターンが考えられます。



「入札」と「特命」のいずれも一長一短ありますが、この記事ではそれぞれの長短について解説したいと思います。




まず前提として、一般的には、建築家は「競争入札方式」を推奨しています。

入札方式の長所は下記のような点があります。



■ 競争原理が働き、価格が公正かつ適正な金額で算出され、比較検討できる。


■ 見積内訳の精度が高くなり、入札後に減額等の検討がしやすい。



入札では10%から20%程度の価格差が出るケースが多いので、より価格が安く、見積の内訳が適切に記載されている工務店を選定できます。

また、特命の場合は、価格の妥当性が客観的に評価しにくく、予算オーバーした場合に交渉する余地が少ないのですが、入札の場合は競争原理が働くので、価格交渉しやすいといえます。



入札方式の短所としては、下記のようなものが考えられます。



■ 入札の為のスケジュールを特命方式よりも長期間、見込んでおく必要がある。


■ 見積期間中、複数の会社とやりとりする為、作業内容がやや複雑になる。



一番の短所は、スケジュールの長期化と思われますが、特命と比較して極端に変わる訳ではありません。

おそらく2、3週間程度長めにしておけば十分といえますが、あらかじめ余裕のある全体スケジュールを組んでおくことが重要といえます。





一方で、特命方式の方が良いケースは、下記のような場合が考えられます。



■ スケジュールがタイトで、建物の使用開始時期が変更できない場合。


→ 特命とした方が設計段階から工事内容を相談でき、計画内容への理解度が高まって迅速に対応しやすく、見積・契約交渉期間を短縮できます。




■ リフォーム・リノベーションで、予算総額が相対的に低い場合。


→ 新築工事と較べると、相対的に工事の利益率も低くなるので、リフォームに慣れている工務店に、特命で依頼する方が良い場合があります。




■ ローコスト建築の場合。


→ こちらも工務店の利益率が低くなり、入札しても辞退される可能性が高くなるため、ローコストでも対応してくれる工務店に、特命で依頼する方が良い場合があります。




■ 崖地や狭小地等で、工事上の建築条件が厳しい場合。


→ 工事の難易度が高い場合、特殊なノウハウや実績のある工務店に直接依頼する方が良い場合があります。



上記のようなケースでは、入札を依頼しても工事の利益率が低いと判断され、入札を辞退される場合も多くあります。

見積作成の人件費・手間代もそれなりにかかる為、上記のように受注者側から見ても条件が厳しいケースでは、無駄骨を折ると判断されて辞退される訳です。


反対に、予算や工期が適正、もしくは余裕があるとみなされるような場合は、仕事を獲得したい工務店が増えるので、競争入札にした方が公正な競争による見積金額が期待できます。


可能な限り、予算とスケジュールは余裕が見込めるように、建物規模や仕様をあらかじめ調整しておくことが重要です。



また、特命方式の短所は、下記のような点が考えられます。



■ 見積金額が大幅に超過した場合、交渉・選択の余地が少なくなる。


■ 比較対象が無いため、金額の妥当性を判断しにくい。


■ 金額や対応に不満が出た場合に、契約のキャンセルがしにくい。



特命方式の場合は、あらかじめ建築家と付き合いのある工務店に依頼するケースが多いので、大きなトラブルに発展することはまれですが、設計段階から十分に意思疎通をはかって、設計の意図や工事の内容を確認しておくことが重要といえます。




そして、入札か特命かの選択は、個別のケースによって異なるため、まずは建築家に相談して方針を決めるのが良いといえます。



通常、建築家は複数の工務店とのお付き合いがあり、プロジェクトの種類や特性に応じてそのプロジェクトに適すると思われる工務店に相談する流れになります。





KHアーキテクツにおいても、これまでの複数の工務店さんとのお付き合いの中から、プロジェクトに適する工務店さんに入札、特命にかかわらず参画を依頼しています。




新築、リフォーム等をご検討でしたら、無料相談会を随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。







・関連するページ


bottom of page