見学できる有名建築家の住宅


一般的に、住宅は個人の所有物なので見学が難しいのですが、有名建築家が手掛けた住宅の中にはその文化財としての価値が認められて、公的機関の管理のもとに一般公開されているものがいくつかあります。



この記事では、東京近郊において、予約無しで誰でも見学できる(2022年7月現在)、有名建築家による3軒の住宅作品をご紹介したいと思います。




・旧前川國男自邸 

(設計:前川國男、1942年、小金井市)


日本近代建築の巨匠、前川國男の自邸です。

この自邸は、戦時中の資材制限の中で建てられた、木造のモダニズム住宅として有名な住宅です。

現在は小金井市にある江戸東京たてもの園に移築されて、一般見学が可能となっています。

中2階のある、天井の高い南面の大きな窓で開かれたリビングが見どころで、木のぬくもりのあるモダンな生活空間として、教科書のような住宅といえます。

ちなみに、前川國男は後にコンクリート造の自邸を建てていますが、そちらは非公開になっています。


(「旧前川國男自邸」の施設案内・アクセス情報はこちら


南側の外観。シンプルな対称形の切妻屋根が印象的です。



南側の格子窓から光の降り注ぐリビング。古さを感じさせないモダンな空間です。







・旧井上房一郎邸 

(設計:アントニン・レーモンド、1952年、群馬県高崎市)


戦前から日本で活躍した、日本の近代建築の巨匠の一人であるアントニン・レーモンドによる住宅です。

レーモンドはフランク・ロイド・ライトの弟子の一人として旧帝国ホテルの設計時に来日し、そのまま日本に留まって設計活動をしたチェコ系アメリカ人です。

レーモンドは住宅から大学や音楽ホールにいたるまで、多様な建築を日本各地に設計しています。

その中でも、教会建築はまだ現役で使われており、個性的な架構による空間を体験することが出来ます。

そんなレーモンドの麻布に建てられた自邸兼事務所をベースにつくられたのが、「旧井上房一郎邸」です。

終戦直後に、安価な資材であった足場丸太を使って組合せた軽さのある架構が特徴的で、全体は和風でありながら西洋的なライフスタイルに馴染む、独特の温かみのある空間が体験できます。

(「旧井上房一郎邸」の施設案内・アクセス情報はこちら


丸太の架構がリズミカルに並んだ、縁側の外観。



住棟の間にある、アウトドアリビング。



軽やかな丸太の架構のある、木のぬくもりのあるリビング。






・猪俣庭園(旧猪俣邸)

(設計:吉田五十八、1969年、世田谷区)


伝統的な数寄屋建築に近代建築のデザインと技術のエッセンスを融合させた、近代和風建築の巨匠、吉田五十八による住宅です。

成城の住宅街にあり、1800平米という、住宅としては大きな敷地の中にある平屋の住宅です。

この住宅は、庭園と建築がオリジナルの状態で保たれており、吉田五十八の構想したデザインがそのまま体験できる、大変貴重な住宅です。

主要な部屋が庭園に面しており、それぞれの部屋の用途によって趣向の異なる空間が庭園と融合しながら連続していて、和の空間でありながらモダンリビングの心地よさを感じさせる、上質な邸宅です。


(「猪俣庭園」の施設案内・アクセス情報はこちら


庭園から見た外観。内と外が一体的に連続する空間になっています。



リビングから庭園を見たところ。照明器具等の細かな造作も見どころです。



書斎から庭園を見たところ。和とモダンが融合した心地よい空間です。






以上、見学可能な住宅3軒をご紹介しました。


いずれも日本を代表する建築家の代表的な住宅作品になりますので、大変居心地がよく、現代にも通用するデザインやアイデア、ディテールにあふれており、非常に見応えがあります。

私もそれぞれ、実際に訪れて体験することで、デザイン的に大なり小なり影響を受けている部分があります。


建築家の住宅を見学できる機会はなかなかありませんが、実際に訪れて体験することで理解できることが多分にありますので、是非ご体験いただければと思います。



また、KHアーキテクツが手掛けた住宅においても、お施主様のご厚意により見学できるケースがあります。

もしご興味ございましたら、是非お問合せください。